確定申告

はじめての副業せどりの確定申告のやり方

副業のせどりの確定申告、具体的にはどうやるの?
はじめての確定申告、いろいろわからず不安ですよね。
税務の実務に通算18年従事して、1000件超の確定申告書を見てきた私が解説します。
しょうじ

じつは、せどりの確定申告は流れをつかめば、そんなに難しくないんです。

なぜなら、副業のせどりの場合、事業所得で申告するような「帳簿をつける」、「決算書をつくる」といった作業の必要がないからなんです。

この記事では、副業でせどりをする場合の具体的な確定申告のやり方を、初めてでもわかるように図解で作成しました。

書籍などにある「確定申告のやり方」はあらゆるパターンを総合的に解説しているので、わかりにくいと思いますが、この記事では「副業のせどり」に絞った内容なので、初心者でも理解しやすい内容になっています。

はじめに

じつは、副業のせどりは、みんなが申告をしなければいけないわけではないです。
まずは、

✅どんな時に確定申告が必要か?
✅初心者がまちがう確定申告のやり方

を見てみましょう。

確定申告するのはどんなとき

副業のせどりで確定申告しなければいけないのは、
年間で20万円以上の利益が出た人です。

確定申告しなかった場合には、無申告加算税、延滞税がペナルティとして課されます。

くわしくはこちらの記事で解説しています。

初心者がまちがう確定申告のやり方

サラリーマンが副業でせどりをやる場合、『雑所得』として申告します。

せどりは物販なので、事業所得じゃないの?と思いますよね。

ところが、副業でやっている場合は、サラリーマン(給与所得者)という本業があるので、せどりは雑所得となるわけです。

下が国税庁の見解です。

No.1906 給与所得者がネットオークション等により副収入を得た場合

 

副業の確定申告を事業所得で申告する人もいますが、それなりにリスクもあります。

✅事業所得と雑所得との違い
✅事業所得で申告することのリスク

についてはこちらの記事でくわしく解説しています。

とはいえ、副業を雑所得ではなく事業所得で申告する人もいます。
その場合、税務調査に来る可能性はあるのか?というのが気になりますよね。

副業のせどりを「事業所得」とするには、法令解釈上はかなり厳しいです。
でも、事業所得で申告したからといって、税務調査が来るわけではないです。

確定申告書作成前の準備

売上、仕入れ、経費の集計

売上、仕入れ、経費の集計では、入金や支払をベースにするのではなく、必ず「発生」をベースにします。売上であれば、入金された日ではなく、売上が上がった日、仕入れであれば、その代金を支払った日ではなく、仕入れた日が基準です。

集計のやり方はというと、

副業の確定申告の場合、複式簿記による帳簿は不要なので、
売上・仕入れ・経費ともに、総額を集計すればOKです。
(経費は、消耗品費、交際費、旅費交通費、雑費など科目ごとの個別集計は不要です。)

集計は総額でしますが、帳票の保存は必要なので、

売上については、
Amazonならセラーセントラル、ヤフオクやメルカリなら、アプリ上で個別記録はとれるので、それを保存するようにしましょう。

仕入れについては、仕入れ先からの明細や納品書を保存するようにしてください。

経費は、領収書を保存することで個別の記録となります。大事なのは

✅日付、✅金額、✅相手先、✅内容

の4つがそろうことで、領収書であるかレシートであるかは問いません。

ここで、集計した「売上」、「仕入れ」、「経費」の金額を確定申告書に転記することになります。

決算処理

決算処理とは、最終的に売上や経費を確定して会計を年度で締めるために修正・調整する手続きです。
減価償却費の計上棚卸しの算定が決算処理になります。

減価償却費の計上

減価償却というのは、10万円以上で1年以上の長期に使用する資産をその耐用年数に渡って経費にすることです。

その経費とするタイミングが決算のときになります。

例えば、90万円で購入した車は、税法上の乗用車の耐用年数は6年なので、6年間にわたって15万円ずつ毎年経費にしていきます。

車を90万円で買った場合は、買ったときに経費にするのではなく、決算で減価償却費の15万円を経費にします。

 

棚卸しのやり方

仕入れた商品のうち、今年売れなかった在庫分は、今年の経費ではなく、来年以降売れたときの経費になります。そこで、期末にある在庫商品を数えて、仕入れから差し引く手続きをします。

これを棚卸しといいます。

 

棚卸しのやり方は、仕入単価×個数で計算します。

注意ポイント

仕入単価が一定ではなくバラバラの場合、税法上は今年一番最後に仕入れたときの単価を使います。(最終仕入原価法)

確定申告書の作成

 

確定申告の時期

確定申告は毎年1月1日から12月31日までの期間のせどりの儲けを翌年2月16日から3月15日までの期間に、住んでいる所轄の税務署に、確定申告書を提出して、税金を納付する手続きです。

 

準備するもの

インターネットに接続したパソコン

集計した売上・経費のデータ

源泉徴収票
勤務先の会社で発行された源泉徴収票(確定申告書を印刷して書面で提出する場合は、源泉徴収票は添付します。)

確定申告書の作成

確定申告書の作成は、国税庁のホームページで作成できます。

国税庁 確定申告書等作成コーナー

国税庁のシステムは案内に沿って入力すればわかるようになっており、住所・氏名・生年月日のほか、

副業のせどりの場合、

➊源泉徴収票から給与所得を入力
➋売上・経費の集計データから雑所得を入力

だけで、ほぼ完成します。

確定申告書の提出

申告書の提出は、3つのパターンになります。

➊e-taxで提出 マイナンバーカード方式
➋e-taxで提出 ID・パスワード方式
➌印刷して提出

*e-taxというのは、電子申告の名称です。

➊e-taxで提出 マイナンバーカード方式
別途、マイナンバーカードとICカードリーダライタが必要になります。

➋e-taxで提出 ID・パスワード方式
ID・パスワード設定のため、所轄税務署にて税務署員に本人確認をしてもらう必要があります。

➌印刷して提出
アナログな方式で提出するならこの方法。ただし、源泉徴収票の添付など、添付書類の手間が増えます。

 

副業がバレるのはこんなとき!

上場企業などでも副業解禁になって、今や副業ブームですが、会社によっては「副業禁止」のところもまだまだあります。

確定申告をすると副業がバレるというのは、住民税が大きく関係します。

バレないためには、どうすればよいか?
結論から言うと、、、

会社に副業がバレないようにするには、
確定申告書の住民税の徴収方法を「自分で納付」(普通徴収)にすれば大丈夫です。

具体的には、

確定申告書の住民税に関する事項の
「給与・公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」の欄の「自分で納付」の箇所に〇印をつけます。これだけです。

住民税の仕組みについてはこちらの記事でくわしく解説しています。

まとめ

副業のせどりの場合、確定申告はそれほど難しくないです。
初心者でも、時間をつくって取り組めば、十分作成できます。

でも、副業とはいえ、

✅思いのほか利益が出て納税額が大きい。
✅税務調査対応などを考えると税理士に見てもらった方が安心。
✅ただでさえ時間がないので、せどりの作業以外に時間を割けない。

といった場合には、自分で確定申告することにこだわらず税理士に依頼するのも考えてみましょう。

せどりで税理士に依頼するときの判断・タイミング・税理士の選び方はこちらの記事でくわしく解説しています。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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