確定申告

せどりで青色申告が得する理由と副業には適用できない理由

青色申告が得らしいけど、メリットも手続き方法もわからないとお悩みではないですか?

青色申告は要件を満たしたうえで事前に届出しないと適用できません。なので、「確定申告前でいいや」と悠長に構えていると手遅れになってしまいます。

この記事では、

この記事の内容

青色申告のメリットや手続きの方法、なぜ、副業は青色申告を適用できないのか?といった疑問について、初めてでもわかるように図解を用いてまとめました。

しょうじ

税務無の実務に通算18年従事した私の経験から、初心者がよく間違えるポイントも含めて解説しています。

また、青色申告を適用すると必要になる帳簿、その手段としての会計ソフトの選び方もお教えします。

はじめての確定申告で青色申告をした方が得なのか?どうしようか悩んでいるなら、先延ばしにして確定申告期限直前であわてることのない様に、今のうちに最後まで読んで知識を深めてください。

青色申告のメリット

青色申告が税金で得するというのは知られていますが、具体的にはどう得するのか?

青色申告のメリット

➊65万円の特別控除がある
➋損失を3年間繰り越せる
➌減価償却資産も30万円未満は一括で経費にできる
➍家族に給与を払って経費にできる

➊最大65万円の特別控除がある

青色申告を適用すると所得から最大で65万円を控除することができます。(電子申告ではなく書面で提出する場合には上限が55万円になります。)

➋損失を3年間繰り越せる

赤字が出たら、損失を3年間繰り越せます。

損失を3年間繰り越せるメリットは、翌年以降で利益が出ても、損失額を限度に利益を損失と相殺することができるんですね。すると、その分課税を回避することが可能になるんです。

➌減価償却資産も30万円未満は一括で経費にできる

取得価額が10万円以上で、1年以上ににわたって使用する資産は、耐用年数に応じて経費にしていきます。購入価格をそのまま経費にはできません。これを減価償却資産といいます。

でも、青色申告を適用すると、30万円未満なら、一括で経費にすることができます。

➍家族に給与を払って経費にできる

所得税では、事業を手伝う親族に給与を払っても経費にはなりません。(白色申告の場合に事業専従者控除というのはあります。これは、事業に専ら従事する親族に一定額を控除する制度です。)

でも、青色申告を適用し、一定要件を満たすと、親族に支払った給与を経費とすることができます。

青色申告は誰でもできるものではない

青色申告は、どんな所得にでも適用できるのではなく、所得の種類に制限があります。

というのは、青色申告は、「不動産所得」、「事業所得」、「山林所得」にしか適用できません。

せどりの場合は、「事業所得」になるので適用可能ですが、注意点があります。

それは、せどりで青色申告が適用できるのは「専業」でせどりをする人だけです。つまり「副業」でせどりをする人は青色申告は適用できないんですね。

「副業」のせどりの場合は、「雑所得」になります。そのため、青色申告は適用できません。

せどりなら、種類的に事業っぽいけど、ちがうの?

せどりは「副業」の場合は雑所得です。下は国税庁の見解です。

しょうじ
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1906.htm

ポイント

上記のように、国税庁が公式見解として、WEBサイト上に明示しているので副業のせどりは「雑所得」として申告すべきだと考えてください。

副業で青色申告を適用するには

でも、副業のせどりで事業所得、しかも青色申告にしている人はたくさんいるけどマズいの?

個人のせどりで、それほど税収が見込めないところに調査に行くというのはコスパが悪い。
なので、スルーされているというのが実情です。

しょうじ

上述したように、国税庁が「雑所得」と明示しているので、税務調査になれば、必ず論点になります。

そこで戦わないと、事業所得と認められず、もちろん青色申告も取り消されます。

とはいえ、税務の知識がないのに戦いようがないですよね。そんなときこそ専門家の力を借りるより他ありません。

もし、副業のせどりで青色申告をするなら、必ず税理士を味方につけましょう。

せどりの税理士の選び方についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
せどりにおすすめの税理士の選び方、失敗しないための3つのポイント

青色申告はすぐには適用できない

青色申告は、事前に手続きが必要です。

「青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出して、承認されてはじめて適用できる制度です。

ポイント

青色申告承認申請書を提出しても、書類に問題なければ、通常は税務署からは連絡がきません。これを「自動承認」といいます。要件を満たしていれば、承認されていると考えて大丈夫です。

青色申告承認申請書の提出の期限は、青色申告をしようとする年の3月15日までです。
[手続名]所得税の青色申告承認申請手続

提出期限はよく間違うところなので、解説します。

例えば令和3年分の確定申告は、令和3年1月1日~12月31日までの所得を令和4年2月16日~3月15日までに手続きします。

令和3年分の確定申告から青色申告を受けたければ、青色申告承認申請書を提出するのは、令和4年の3月15日ではなく令和3年の3月15日になります。

しょうじ

確定申告書の提出期限までに一緒に出せばよいと思っている人が多いですが、ちがうので注意しましょう。

ただし、その年の1月16日以降に新たに事業を開始した場合は、事業を開始した日から2月以内が、青色申告承認申請書の提出期限になります。

たとえば、令和3年9月30日に事業を開始したとすると、青色申告承認申請書の提出期限は、2月以内なので令和3年11月30日になります。

青色申告特別控除の要件

青色申告を適用すると受けられる特別控除。この特別控除には、65万円控除55万円控除10万円控除と3段階の控除額が設定されています。

要件としては、「不動産所得又は事業所得を営むこと」と「確定申告期限までに提出すること」は大前提ですが、

  • 複式簿記で記帳する
  • 貸借対照表を添付する
  • 電子帳簿保存を行う又はe-taxで申告する

という条件を満たすかどうかで控除額が変わってきます。以下、表にまとめてみました。

65万円控除
55万円控除
10万円控除
不動産所得又は事業所得を営む必要必要必要
確定申告期限までに提出必要必要必要
複式簿記で記帳必要必要不要
貸借対照表添付必要必要不要
電子帳簿で保存またはe-taxで申告必要不要不要

注意

10万円控除の場合、複式簿記による記帳は必要ありませんが、簡易な簿記による記帳は必要です。

せどりの青色申告おすすめ会計ソフト

青色申告を適用するのに、一つの障壁になるのが複式簿記による記帳です。

でも現在は、会計ソフトが進化していて簿記の知識がなくても記帳することは十分可能なんですよね。

ただ会計ソフトも種類は豊富でどれを選べばいいかわかりませんよね。

そこで、実務でいろんな会計ソフトを扱ってきた私が会計ソフトの選び方とおすすめの会計ソフトをお教えします。

会計ソフトの役割

会計ソフトと言うけど、青色申告用の会計ソフトは、今やほとんどが確定申告書を作成して、電子申告をする機能を備えています。

会計ソフトの選び方

会計ソフトには、パソコンにインストールして使うインストール型とインターネット上でアカウントにログインして使うクラウド型があります。これから、せどりの確定申告で使うなら、クラウド型をおすすめします。

クラウド型おすすめの理由

■バージョンアップが不要

■バックアップが不要

■税理士との連携が容易

バージョンアップが不要
インストール型と違って、クラウド型は最新版がつかえるので、バージョンアップが不要です。コストもかからないし、税制改正などをうっかり見逃してミスすることもないです。
バックアップが不要
インストール型はバックアップが必要で、もしデータが消えた場合、税務調査では大変です。クラウド型はその心配がないです。
税理士との連携が容易
年の途中で税理士に丸投げしたいときや、将来的に税理士に依頼する場合、インストール型だとデータのやり取りがメール添付だったりと面倒です。クラウド型だとログインIDとパスワードさえわかれば、データの共有が簡単です。

おすすめの会計ソフト

クラウド型会計ソフトの中でも、個人事業や中小企業でも手軽に導入できて、使いやすく、知名度もある有名どころを挙げると、この3社がおすすめです。

  • やよいの青色申告オンライン
  • マネーフォワードクラウド確定申告
  • freee会計

会計ソフトについてはこちらの記事でくわしく解説しています。
せどりにおすすめの会計ソフト、主要3社厳選比較ランキング

やよいの青色申告オンライン

業界の老舗、17年連続売上実績No.1

特徴

■各プランが初年度は半額で利用できる
■税理士からの認知度No.1

プランには、「セルフプラン」、「ベーシックプラン」、「トータルプラン」とありますが、電話、チャットなどのサポートが必要ないなら「セルフプラン」、サポートが必要なら「ベーシックプラン」がおすすめです。

無料体験プランがあるので、まずは無料体験プランで申し込んで使ってみることをおすすめします。

やよいの青色申告についてはこちらの記事でくわしく解説しています。
せどりの会計ソフト選びは「やよいの青色申告」にすべき3つの理由

マネーフォワードクラウド確定申告

Win/Macの対応はもちろん、アプリも提供

特徴

■固定資産管理台帳の機能があるので減価償却の計算が楽
■仕訳のCSVインポート・エクスポート機能が充実なので他社ソフトからの乗り換えに便利

プランには、「パーソナルミニ」、「パーソナル」、「パーソナルプラス」の3つがあり、副業なら「パーソナルミニ」、専業で個人事業主なら「パーソナル」がおすすめです。

「パーソナル」は1ヶ月無料トライアルがあるので、無料トライアルから試すのをおすすめします。

freee会計

クラウド会計ソフトシェアN0.1

特徴

■クラウド会計の先駆者
■確定申告初心者には、質問に答えるだけで確定申告書が楽に作成できるサポート機能

プランには、「スターター」、「スタンダード」、「プレミアム」とありますが、「スターター」で十分な機能を備えています。この「スターター」」でも無料お試しができるので、一度試してみることをおすすめします。

まとめ

青色申告には、おもなメリットとして以下の4つがあります。

  • 最大65万円の特別控除がある
  • 損失を3年間繰り越せる
  • 減価償却資産も30万円未満は一括で経費にできる
  • 家族に給与を払って経費にできる

ただし、適用を受けるには、「事業所得」、「不動産所得」、「山林所得」である必要があり、事前に税務署に「青色申告承認申請書」を提出して承認してもらう必要があります。

青色申告で最大65万円の特別控除を受けるためには、以下すべてを満たす必要があります。

  • 複式簿記で記帳する
  • 貸借対照表を添付する
  • 電子帳簿保存を行う又はe-taxで申告する

これから青色申告の適用を考えるなら、帳簿の作成にはクラウド型の会計ソフトを導入すると便利です。

確定申告をする際のポイントはこちらの記事でくわしく解説しています。

せどりの確定申告で失敗したくないなら抑えておくべき5つのポイント

最後までお読みいただきありがとうございました。

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