確定申告

赤字の確定申告は必要?申告しないデメリットと注意点

利益があって納める税金があれば確定申告は必要ですが、赤字の場合こんな疑問がありませんか?

赤字の時の確定申告の疑問

✅赤字のときも確定申告書って出さなきゃいけないの?

✅確定申告書を提出しないペナルティは?

そこで、この記事では

しょうじ

税務の実務に通算18年従事した私が赤字のときの確定申告の疑問を解説します。

注意

この記事は、せどりを専業にする「個人事業主」であることを前提で解説しています。

結論から言うと、

結論

赤字の時は確定申告を提出する義務はない。

ただし、確定申告書を提出しないと、

✅青色申告の場合、欠損金が繰越できない
✅国民健康保険の減免が受けられない
✅所得証明が発行できない

というデメリットが生じます。

赤字のときは確定申告は不要

専業でせどりをやっている人(=個人事業主)が、

確定申告を提出しなければいけないのは、ざっくり言うと、
納める所得税がある場合です。

国税庁:確定申告が必要な方

つまり、赤字なら確定申告書を提出しなくても何の罰則もありません。

というと、個人事業なら、
青色申告の場合は赤字でも確定申告書を提出しないとペナルティがあると思われがちですが、青色申告でも本来、赤字なら提出義務はありません。

青色申告が取消しになるんじゃないの?

法人の青色申告の場合、2年連続で申告期限に申告書を提出しないと取消しになりますが、所得税にはその規定はありません。

しょうじ

法人税法の場合は、法人税法第127条第1項第4号で青色申告の取消しについての規定があります。

e-Gov法令検索


でも、所得税法第150条第1項には、青色申告の取消しの規定はないんです。

つまり、個人の場合は青色申告の取りやめの届出をしない限り、期限後申告や無申告でも青色申告の効力は継続することになります。

赤字で確定申告しないデメリット

じゃあ、なんで、みんな赤字でも申告するの?

じつは、赤字の場合、「申告しないことにデメリットがある」からなんです。

しょうじ

赤字の時に申告しないデメリットとしては、代表的なものに以下の3つがあります。

  • 青色申告の場合、欠損金が繰越できない
  • 国民健康保険の減免が受けられない
  • 所得証明が発行できない

青色申告の場合、欠損金が繰越できない

青色申告の場合、赤字で発生した欠損金は3年間にわたって繰り越すことができます。繰り越した欠損金は所得が発生した際に充当できるのでその分税負担が減少します。
確定申告書を提出しないと、この手続きができません。

国民健康保険の減免が受けられない

国民健康保険は所得の金額によって保険料額が決まります。所得が一定金額未満の場合、保険料を減額してもらうことができます。
その判断基準になるのが確定申告での所得です。

例えば、東京都世田谷区の場合、国民健康保険料の均等割額が、所得に応じて以下のように減額されます。

保険料の軽減・減免について 東京都世田谷区 

所得証明が発行できない

確定申告書を提出しないと所得が証明できないので、住宅ローンなどの審査に提出できずにローンが組めないなどの不都合が生じます。

赤字の確定申告書の注意

じつは赤字で確定申告書を提出する場合、提出することに注意点があります。

それは、融資の観点からです。

今後、融資を受けようとする場合、審査の材料になるのが確定申告書です。

ふつう、融資の審査は過去3年分の確定申告書の提出が求められます。
赤字=審査に通らないということではありませんが、

やはり、融資の審査の上では赤字は不利になります。

ただ、申告書を提出していない場合は、そもそも、所得が証明できないので、赤字でも申告書を提出しないよりは提出しておく方が良いことに変わりありません。

まとめ

赤字の時は確定申告を提出する義務ありません。

ただし、確定申告書を提出しないと、

✅青色申告の場合、欠損金が繰越できない
✅国民健康保険の減免が受けられない
✅所得証明が発行できない

というデメリットが生じます。

また、赤字の確定申告書は融資の審査上は不利に働くこともあります。
とはいえ、確定申告書を出さないと所得の証明そのものができないので、赤字でも提出しておく方が無難です。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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